マガン (Greater White-fronted Goose): Anser albifrons

fly
Barrow, Alaska (23,June,2005)

名前のとおりだな、くちばしの根元が白い。

ツンドラの大地に溶け込むボデー

landscape Canning River Delta, Alaska (8,June,2004) 雁といえば、日本で一般的なのがこの真雁【マガン】、そして 菱喰【ヒシクイ】。アメリカでも真雁は一般的な種類のひとつだ(菱喰はほとんどおらぬが)。
メキシコやカリフォルニアで冬越しをする彼らであるが、6月のまだ沼も凍り、雪も残るアラスカの極北に、 このものらはすでに繁殖に集まってきておったわ。
hiding Barrow, Alaska (23,June,2005) 左の写真、おぬしらには見つけられるかの?
繁殖地できゃつらを見てきて一番印象に残ったのが、その見つけにくさだった。柴犬ほどの大きさの鳥ゆえ、 立っていれば目立つ。が、地に伏せていると、保護色のために見当もつかん。
凍原(ツンドラ)を歩いておる最中、目前で突如こやつが飛び立ち、よく仰天させられたぞ。
nest Barrow, Alaska (14,June,2005) 手前の白いくぼみが真雁の巣、そして卵。巣は、枯草のしげる、 乾いた大地のうえに築かれておった。写真では水辺の近くに巣が設けられておるが、水辺からしばし 離れた丘の中腹に営巣しているものどももみられた。
nest&eggs Barrow, Alaska (24,June,2005) 巣の拡大描写。浅いくぼみに枯草をしき、さらに己の羽毛をしいておる。卵は、 鶏卵の一回りから二回りは大きいの。だいたい6〜8個くらい産み、5・6個目くらいから温めはじめる。 これは、孵化の時期を、兄弟ともに一致させるためと考えられてる。
incubation Barrow, Alaska (23,June,2005) 卵を温めている真雁の雌。首を伸ばして地に伏せ、大地に溶け込んでおる。 写真では分かりやすいが、これが実際にこの場で見れば、非常に見つけづらい。
雁のなかまは、雄と雌の外見が一緒である。 雄は抱卵には参加せぬが、巣の近くで見守ってるし、子育ては夫婦でおこなう。それゆえ、地味なほうが 好都合なのかもしれぬ。この点、多くの鴨のなかまとは随分ちがうな。
surprise Barrow, Alaska (4,July,2005) 予の存在に驚いて巣から飛び出してきた真雁の雌だ(まことにすまぬが)。 雲隠れと忍耐が武器で、かなり近づくまで(2〜5m)巣から飛び立つことはないようだ。
巣から飛び出した後は、ばたばたしながら走って逃げ、ひとときの間こちらの様子を見、そして 飛びたつ。するとどこからともなく様子をうかがっていた雄も共に飛び立ち、少しはなれた 場所へ降り立ち、遠くから我がほうの様子をうかがう。そんな状況がよく見られたな。
fly&call Barrow, Alaska (23,June,2005) これもまた、驚き飛び立った真雁だな。飛びながら鳴き喚いておるわ。 こやつらは結構やかましく鳴き、その声はケタケタと笑う女子衆と何ら変わらん。