札幌 モエレ沼
”モエレ沼は札幌市の東北部に位置する約80haの沼で、野鳥の楽園としての様相を残しつつ、
水郷公園としての整備が進められている都市計画上ユニークな位置づけの公園である。”
〜というのが、参考にしているガイドブックの冒頭の説明だ。
今回はモエレ沼を訪れることにした。
前回の西岡公園では、北海道の森の一面を垣間見ることができたので、今回は水辺の開けた場所を狙う魂胆である。
この沼は河跡湖ということらしい。実際に、その元となるらしい雁来新川と現在でもつながっている。
さて、現地に近づくに従い、モエレ沼はその異様な景観を露しはじめた。
あれが、ここの都市計画のシンボルとなるピラミッドであろう。ガラスでできているから、
鳥が大量に衝突死しやしないかとちょっと心配になる。それとも、角度があるから大丈夫なのであろうか?
沼にいる水鳥を期待して訪れてみたが、幸い、湖面は凍り付いていないようだ。
とはいうものの、水鳥の姿はほとんど見られないようだ。
少々がっかりではあるものの、なに、何か別のものに出会えるだろう。
そんな気持ちで、沼沿いに公園内の散策をはじめた。
公園内は、一面に白い雪で覆われている。ちらほらと人影も見える。散歩をしている人もいれば、
クロスカントリーを楽しんでいる人もいる。今日も天気に恵まれた。濃い青空を背中に、
トビが訪問者をお出迎え。
もっともよくお目にかかることのある猛禽類だが、北米にはいないので出会えて嬉しい鳥である。
まったく、気持ちよさそうに空を飛ぶものだ。
さて、園内に入ってすぐの林(カラマツ?)から、ギャーギャーとやかましい声が聞こえてくる。
いたいた、カケスだろう。こいつも撮っておきたかった鳥だ。
北海道に住むカケスはミヤマカケスと呼ばれる亜種で、本土のものと違い赤い頭をしている。 このミヤマカケスは、北海道からシベリアにかけて分布しているらしい。北海道にはこのように 本土と異なる亜種が生息しているので興味深い。津軽海峡は、地図で見るよりもずっと広いようだ。
こちらのエナガも、北海道で見られるのはシマエナガと呼ばれる亜種である。
本土のほうで見られるエナガには、ダルマのような黒々とした野太い眉がある。シマエナガにはそれがなく、
おかげで随分とちがった印象だ。妙に愛嬌のある顔つきではないか。
ぐるりと園内をまわって見られるのは、西岡公園で見られた種類と似たようなものである。
期待していた水鳥があまり見当たらないので、そうなるのかもしれない。林ではアカゲラにも結構お目にかかる。
開けたところで見回すと、遠くの鉄塔のてっぺんにノスリが見られる。冬の猛禽たちには嬉しい場所かもしれない。
そう思っていると、すぐ目の前をハイイロチュウヒがとおり過ぎて行った。慌ててカメラを構えるが、
おっとり刀では間に合うはずもない。まったく、この鳥に出会う時は、いつもこうである。ろくに写真を撮らせてもらえない。
最後にお目にかかったのは、ベニヒワの群れ。冬に越冬にくる鳥で、地元の人の話によると、
年によって多かったり来なかったりするらしい。アラスカでは冬の常連客で、なつかしい小鳥たちである。
そんなわけで、モエレ沼での鳥見の収穫は、西岡公園と似たようなものになった。
ガイドブックにもあるが、ここでの鳥見はちがった季節でのほうが楽しめるのであろう。
とはいえ、よい天気に恵まれ、小鳥たちも目の前でたっぷりサービスをしてくれたので、
なかなかに楽しませてもらった。満足、満足。